近年では、カフェやホテル、空港だけでなく、居酒屋や薬局など、ありとあらゆる所で「フリーWi-Fi」を利用する事が可能になりました。
少し時間が空いたタイミングがあると、スマホのパケットを使用せず、高速通信が可能になるので、「フリーWi-Fi」は非常に便利です。
ささしかし、暗号化されていないWi-Fiや、信頼性の低いアクセスポイントでは、通信内容を盗み見られるリスクがあり、フリーWi-Fiは安全とは言えません。
そんな時どうするかというと、私はこれまで、自宅に設置したFortiGate 60Fへ「L2TP/IPsec」で、自宅にVPN接続して、自宅の回線経由でインターネットを利用していました。
L2TP/IPsecの良い点は、Windows OSでは標準VPNクライアントとして動作する為、別途FortiClientをインストールする必要がなく、リモートVPN接続が可能になります。
Windowsは今までの環境で問題ないのですが、私の使用するスマホはそうもいかなくなりました。
Android 12以降では「L2TP/IPsec 」VPNがサポート対象外
スマホで利用されているAndroid OSは、OSバージョン12より、L2TP/IPsec VPNはサポート対象外となり、スマートフォンから自宅へのVPN接続ができなくなってしまいました。
Android OSのL2TP/IPsecに対応しなくなった件については、以下記事をご覧いただけると幸いです。


そこで今回は、Android 12以降でも利用可能な 、「IKEv2/IPsec」 を使用したFortiGateリモートアクセスVPNを構築していきたいと思います。
本記事では、FortiGate 60Fの実際の設定画面を使いながら、FortiGate側の設定からAndroid・Windowsクライアントの接続方法まで解説していきたいと思います。
なぜ「L2TP/IPsec」から「IKEv2/IPsec」へ移行するのか
Windows PCを使用している上では、最新のWindows 11 25H2でも「L2TP/IPsec」に対応しているので、問題無いのですが、スマホではそうはいきません。
◇ IKEv2/IPsec VPNへ移行する理由 ◇
1. Android OSではL2TP/IPsecが利用できない
Android 12以降、L2TP/IPsecは非推奨となっていましたが、現在私の使用するスマホは、「Android 16」の為、標準VPNクライアントから利用できなくなりました。
そのため、以前まで使用出来ていた「L2TP/IPsec」を利用から、現在のAndroidスマホでも利用可能な「IKEv2/IPsec」へ移行する必要が出てきてしまったのです。
2. IKEv2/IPsecのメリット
- Android / Windows / iPhoneで標準サポート
- 再接続が高速
- モバイル回線とWi-Fiの切り替えに強い
- セキュリティ面で推奨されている
現在のAndroidスマホでVPN利用する為という理由もありますが、新規にリモートアクセスVPNを構築するなら、セキュリティ面からも、IKEv2/IPsecが最も現実的な選択肢と言えると考えます。
3. FortiClient 7.4.4以降はIKEv2のみサポート
以下、Fortinetのドキュメントライブラリー「SSL VPN to IPsec VPN Migration」内に、以下記述があります。
FortiClient 7.4.4以降は、IKEv1が選べずIKEv2のみになる内容が記載されている事から、今後はIPsec VPNを使用する場合は、IKEv2がスタンダードになっていくと思われます。
Fortinet Document Library
今回の構成
自宅のネットワーク構成図を以下に記載します。今回は、外部のフリーWi-Fiから、自宅のFortiGate 60Fへ「IKEv2/IPsec」で接続したいと思います。
ネットワーク構成


クライアント接続方法について
実は、このブログを書く前までは、Windows PC、Androidスマホのどちらも、OS標準クライアントを使用して、接続を行う事を想定していました。
ただ、実際にFortiGateによるIKEv2/IPsec接続を行ってみて分かったのですが、OS標準クライアントを使用して、IKEv2/IPsec VPNを行う事は、簡単ではないという事です。
私の知識不足は否めないところなのですが、OS標準クライアントでは、IKEv2+PSK+EAP(ユーザー名/パスワード)認証が繋がらず、証明書認証が必要になりそうです。
FortiGateが自己認証局として発行した証明書で接続を試してみましたが、私のやり方が良くないのか、どうしてもVPN接続出来ませんでした。
その為、今回は「FortiClient」を使用した接続を行っていきたいと思います。
NURO光レンタルルーター(F660A)設定
現在の「L2TP/IPsec」接続する為には、NURO光レンタルルーター設定を変更する必要がありました。その際に実施した設定内容については、以下記事をご覧いただけると幸いです。
今回の、「IKEv2/IPsec」接続する際も、「L2TP/IPsec」と同じポート(UDP500、UDP4500)を使用しますので、特に設定変更する事なく、流用できる予定です!


FortiGate側の事前準備
IKEv2/IPsecは、FortiOS7.Xからは対応済みです。まずは、現在使用しているFortiGate 60Fの、FortiOSバージョンを確認してみたいと思います。
◇ 事前準備 ◇
1. FortiOSバージョンを確認
GUIから以下を確認します。
・ダッシュボード → ステータス


FortiOS 7.6.6ですので、IKEv2/IPsecは問題なく使用できます。
2. VPNユーザーを作成しグループメンバーに
IKEv2/IPsec VPN接続用のユーザーを作成します。
設定手順
① ユーザ&認証 → ユーザ定義を開き、「新規作成」をクリックします


② ユーザ作成ウィザードで、ユーザタイプ → ローカルユーザを選択します。


③ ユーザー名、パスワードを入力し、設定を進め、作成を完了させます。




④ VPN接続用グループを作成し、ユーザをメンバーにします。




以上で事前準備は完了です。
FortiGateでIKEv2/IPsec VPNを設定する
FortiGate 60Fで、IKEv2/IPsec VPN設定は、「VPNウィザード」を使用して設定していきます。
1. VPNウィザード設定
① VPN → ウィザードを選択。トンネル名(IKEv2-VPN)、リモートアクセスを選択します。




② VPNトンネル設定を行います。
- VPNクライアントの種類 :FortiClient
- 認証方式 :事前共有鍵
- 事前共有鍵 :任意の文字列
- IKE :バージョン2
- EAPピアの種類 :EAP ID要求
- ユーザー認証方法 :フェーズ1インターフェース。先程作成したIKEv2グループ選択
- DNSサーバ :システムDNSを使う


③ リモートエンドポイント設定を行います。
- リモートエンドポイント
- 割り当てるアドレス:192.168.1.130-192.168.1.140※添付のキャプチャーは間違いです
- サブネット:255.255.255.0


④ ローカルFortiGate設定を行います。
私の環境はちょっと特殊で、FortiGateは、WAN1⇔WAN2間のVirtual Wire Pairでセキュリティ検査を行い、外部とのアクセスは、internalインターフェースからのみ行います。ワンアーム構成となっている為、着信・ローカルインターフェースが同じになっているという事情があります。
- 着信インターフェース :internal
- ローカルインターフェース :internal
- ローカルアドレス :all


⑤ VPNトンネル(IKEv2-VPN)が作成されました。


⑥ ファイアウォールポリシーを確認して修正します。
VPNウィザードでVPNトンネルを作成すると、併せて「アドレスオブジェクト」や「ファイアウォールポリシー」が作成されますが、ファイアウォールポリシーを確認すると、何故か、NATが有効化されて作成されますので、ここでNATは無効に変更します。


2. Proxy Arp設定
自宅環境のインターネットGWルーターは、「F660A」です。
これは、NURO光を契約すると送られてくる、レンタルルーターなのですが、機能が少なく、スタティックルートの設定が行えません!!
その為、VPN接続してくる端末にも、自宅LAN内のアドレス(192.168.1.130-192.168.1.140)を割り当てることで、ルート追加をしなくても良いように設計しています。
NURO光レンタルルーターの機能については、以下記事で紹介してますので、宜しければご連絡ください。


その代わり、Proxy Arp設定を行う事で、同一ネットワークアドレスによるVPNアクセスでも、ARP不一致が発生しないようにする必要があります。
① Proxy Arp設定を追加します
以下コマンドを入力します
config system proxy-arp
edit 1
set interface "internal"
set ip 192.168.1.130
set end-ip 192.168.1.140
next
end
以上で、VPN設定は完了です。
Windows FortiClientでIKEv2 VPNを設定する
FortiClientは公式サイト よりダウンロードし、インストールしてください。現在は、ダウンロードに情報入力が必要となっておりますので、ご注意ください。


VPN追加設定
FortiClientのインストールが終了したら、VPN設定を追加していきます。
設定手順
① タスクバーより、FortiClientアイコンを右クリックし、「Open FortiClient Console」をクリック。
バージョンを確認すると、7.4.3でした(2026/8/13現在)ので、まだ、IKEv1は使えるバージョンのようです。


② 新しいVPN接続を作成します。
- VPN :IPsec VPN
- 接続名 :任意(IKEv2-VPN)
- リモートGW :”グローバルIPアドレス”
- 認証方法 :事前共有鍵(FortiGateに設定したキー)
- 認証(EAP) :ユーザー名を保存
- ユーザー名 :FortiGateで設定した”ikev2-user01"


③ VPN詳細設定を行います。
IKEバージョン2に設定する以外は、そのままで問題なさそうです。フェーズ1・フェーズ2どちらのプロポーサルやDHグループもFortiGate設定と一致している事を確認します。


④ 設定を保存します。
以上で設定は完了です。
VPN接続の確認
早速、VPN接続を行います。
VPN接続を確認
「接続」ボタンをクリックすると、すんなりVPN接続が完了しました。
IPアドレスもFortiGateで設定した、アドレスレンジから払い出されている事が確認出来ます。


グローバルIPを確認
VPN接続前後、以下のようなサイトをグローバルIPアドレスを確認します。


接続後に 自宅回線のグローバルIPアドレス が表示されており、NURO光回線からアクセスしている事も確認できました。
Android接続設定について
この後、同じようにAndroidスマホに、FortiClientをインストールし、設定しようとしましたが出来ず!
理由としては、IKEv2でPSK(共有キー)を選択した際、ユーザー名/パスワード設定が出来ない為




ダメもとで接続を試みましたが、「接続は失敗!!」
AndroidでIKEv2/IPsec VPN接続できない
その後、FortiGateで、証明書を作成し、FortiGateの自己CA証明書およびサーバー証明書を、Androidスマホにインストールして、接続をこころみましたが、こちらも接続は失敗となってしまいました。
FortiGateのログを確認
VPNログを確認しましたが、ログが全くでておらず、調査できませんでした。
まとめ(今後)
今回は、Windows OS版FortiClientを利用して、 IKEv2/IPsecリモートアクセスVPN を構築する方法を解説しました。
Windowsであれば、VPNウィザードを使用して、簡単にIKEv2/IPsec VPN接続が行える事が確認できました。
但し、Android OSでは、「IKEv2+PSK+EAP(ユーザー名/パスワード)認証」設定が行えず、簡単には接続出来ない事が確認出来ました。
次回になりますが、再度、Android OSによる、IKEv2/IPsec VPN接続設定方法をご紹介していきたいと思いますので、お待ちいただけると幸いです!


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