先日、知人の新居に、無線LAN環境が必要になり、急遽家電量販店でWi-Fiルーターを買う機会がありました。
日頃、自宅の無線LAN環境で使用する機器は、ヤフオクで購入した業務用アクセスポイントを代々使用しています。現在は「Cisco Aironet3802i」、その前は「Cisco Aironet1702i」、さらにその前は「Cisco Aironet 1142N」といった感じです。

なぜ、業務用アクセスポイントを使っているかというと、日頃仕事で、Cisco製APの設定設置など行っていますので、品質に安心感があるというところと、機能や設定が分かっているというところが大きいです。
ただ、今回のように、自分ではなく、他の人の家に設置するとなると、自宅のようにはいきません。何かあった場合に、所有している人がどうにか出来る状態にしておかないと、困ってしまいますので。
その為、今回は誰でも設定確認・変更が行るように、家電量販店で商品を購入しようと思ったのですが、Wi-Fiルーターの機器選定はなかなか難しいと感じました。
今回は、どういうポイントで、Wi-Fiルーターを選ぶと良いか?に焦点をあてて、書いていきたいと思います。
高性能Wi-Fiルーターは本当に必要?まずは基本を知ろう

Wi-Fiルーターの購入を考えたとき、「高性能なものが良い」というイメージは誰しも持っていますよね。でも、本当に自分の環境で高性能ルーターが必要なのか、不安になることもあるはずです。もちろん高性能な機器は高価です!
この章では、まずWi-Fiルーターの基本的な役割と「高性能」とは何かをわかりやすく解説していきます。理解を深めて、あなたに必要なルーター選びの第一歩にしましょう。
Wi-Fiルーターの性能がネット速度に与える影響とは?
Wi-Fiルーターの性能は、ネットの速度や安定性に大きく影響します。
Wi-Fiルーターは、「Wi-Fi(無線LAN)機能」+「ルーター機能」2つの機能を兼ね備えています。
eo光コラム「ルーターとは?Wi-Fiとの違いや選び方を初心者にもわかりやすく解説」
Wi-Fiルーターの「ルーター機能」部分が、ネット速度に影響を与える事はほとんどありません。ネット速度に影響があるのは、「Wi-Fi機能」になります。
「Wi-Fi機能」は、無線電波を使用してデータ通信を行いますので、性能が低いと通信速度が遅くなったり、接続が不安定になったりすることがあります。
例えば、古いWi-Fiルーターは最新の高速通信規格に対応していなかったり、アンテナの数が少ないことで電波の届く範囲や強さが弱かったりします。これにより、スマホやパソコンが本来の回線速度を活かせないケースが多く見られます。
「高性能」Wi-Fiルーターとは何か?
「高性能」Wi-Fiルーターとは、最新のWi-Fi規格に対応し、複数台の機器を同時に快適に接続できるWi-Fiルーターのことです。
高性能を判断するポイントは大きく以下2点で判断できます。
1.最新のWi-Fi規格に対応している(高速性)
下に「BUFFLO製Wi-Fiルーター」のパッケージを載せました。
パッケージから、①に「Wi-Fi 6E規格」に対応している事が分かります。現在最新のWi-Fi規格は、「Wi-Fi7」ですが、まだ端末側が対応していないケースが多いので、実質「Wi-Fi6E」が最新規格と思っていて良いと思います。
当たり前ですが、最新規格の方が、速度・安定性共優れています。
2.同時に接続可能台数が多い
高性能Wi-Fiルーターは、アンテナの数や送受信技術が優れています。
②に6ストリームと記載されており6本のアンテナが内蔵され、③30台程度の同時接続に対応する事から、この機器は、同時に多くの機器を使う環境でも安定した接続が可能という事が分かります。

使う環境別に見る「高性能Wi-Fiルーターの意味」
「高性能なWi-Fiルーターは必要か?」という疑問は、使う環境によって答えが大きく変わります。
あなたの生活スタイルや家の広さ、接続する機器の数などにより、ルーターの性能が役立つ度合いは違うのです。この章では、具体的な環境別に高性能ルーターが意味を持つかどうかをわかりやすく解説します。自分に合った選択のヒントにしてください。
1.一人暮らしや少人数家庭の場合
一人暮らしや少人数の家庭では、高性能ルーターは必ずしも必要ではありません。
理由としては、使う機器の数が少なく、家の広さも比較的狭い為です。
例えば、一人暮らしのワンルームでスマホやノートパソコン1〜2台を使う程度なら、アンテナ数の少ない「Wi-Fi5」 or 「Wi-Fi6」に対応するWi-Fiルーターでも快適に使えます。市場価格でいくと5千円程度で購入が可能です。また、高性能Wi-Fiルーターの機能を持て余すことが多いです。
補足:インターネット機能付きアパートではルーター機能が必須です
最近「インターネット機能標準装備」のアパートが良くあります。以下の絵になるような、情報コンセントが壁に取り付けられていて、LANポートにPCを指すとインターネットにすぐに繋がるというものです。


注意点としは、このLANポートの先は、アパートネットワークになりますので、絶対に無いとは思いますが、他の部屋と繋がっていないとも限りませんし、ハッカーみたいな人が隣の部屋にいたら、そのポートにダイレクトで端末をつなぐ事は非常に危険です。
接続は、ルーター機能を持つWi-Fiルーターを接続する事で、部屋内でローカルネットワーク(LAN)を構成できますので、必ずルーター機能を持つ機器を設置しましょう!!
2.家族の多い家庭や大きな家の場合
家族が多かったり、広い家に住んでいる場合は、高性能ルーターの導入が効果的です。
接続する機器の数が多く、広い範囲に安定した電波を届ける必要があるため、高性能なアンテナや複数接続対応が重要になります。
例えば、家族でスマホやタブレット、ゲーム機など複数の機器を同時に使う場合や、2階建て以上の家で電波をしっかり届かせたい場合は、アンテナ数が多く最新規格に対応したルーターが通信品質を大きく向上させます。
Wi-Fi規格としては「Wi-Fi6」or 「Wi-Fi6E」、アンテナ数は4本以上で、10台以上接続をサポートする機器がお勧めです。市場価格的には、1万円程度で購入可能です。
3.ゲームや動画配信を頻繁にする場合
ゲームや動画配信を頻繁に行う場合は、高性能Wi-Fiルーターの価値が非常に高いです。
リアルタイムの応答速度(低遅延)や高速通信が求められるため、通信の安定性と速度を確保できるWi-Fiルーターが必要です。
最新の高性能Wi-Fiルーターは、低遅延技術や高速Wi-Fi規格に対応しており、オンラインゲームや高画質動画のストリーミングをスムーズに行えます。
大きな家で使用するWi-Fiルーターと同じレベルで問題ないと思いますが、出来れば最新のWi-Fi規格「Wi-Fi7」に対応する機器がお勧めです。
あと、オンラインゲームや動画配信を行う場合、回線速度が重要です。遅延の少ない高速回線を利用しましょう!インターネット回線としては、NURO光は速度も速くお勧めです!切り替えについては以下記事をご覧ください。


注意!!



最近のNUEOは、IPアドレスの配布方法が、従来の「デュアルスタックスタック方式」から「MAP-E方式」に変更されています。オンラインゲームでポート開放が必要な場合、使用できませんのでご注意ください!
Wi-Fiルーターの性能を決める重要なポイント
手前みそですが、私は自宅で「業務用Wi-Fi機器」を利用しています。
利用している理由としは、「信頼性がある」、「慣れている」という事もありますが、もう一つ大きな理由があります。
それは「高性能」だからです!
先程、「高性能」Wi-Fiルーターとは、最新のWi-Fi規格に対応し、複数台の機器を同時に快適に接続できるWi-Fiルーターのこと とお話しましたが、「業務用Wi-Fi機器」の強みは、同時接続端末数の多さです。今時の機器であれば、同時接続100台くらいまで対応可能です!
実は、その他の機能については、個人向けも業務向けも大きく変わりません。では、なぜ同時接続端末数が大きく違うかを、この後ご説明します。
「個人用Wi-Fi機器」と「業務用Wi-Fi機器」の違いとは?
違いは、機器の中身にあります。以下は、少し昔になりますが、Wi-Fi機器の中身を図にしたものです。
※以下に示す図は、あくまでも一例ですので全てに当てはまるものではありませんので、ご了承ください。




左側の図は「個人用Wi-Fi機器」を表しています。ポイントは、CPUとメモリーが1つしかないので、アンテナが2本あっても、片方の負荷がもう片方に影響してしまうという構造になります。
右側の図は、「業務用Wi-Fi機器」を表しています。ポイントは本体のCPUとメモリーの他に、アンテナ毎CPUとメモリを持っていますので、複数台の同時接続に対応が可能です。
その他の性能要素も押さえておこう
アンテナ数と同時接続台数以外にも、通信規格やセキュリティ機能も重要です
最新のWi-Fi規格に対応しているほど速度が速く、セキュリティ機能が充実しているほど安心して使えるからです
例えば、Wi-Fi 6対応モデルは高速通信と省エネ性能を両立し、最新の暗号化方式で不正アクセスから守る機能を備えています。これらは快適さと安全性に直結します。
高性能Wi-Fiルーターが「意味ない」と言われる理由


ネットで「高性能Wi-Fiルーターは意味ない」という意見を見かけたことはありませんか?実は、そう感じる人がいるのにも理由があります。この章では、高性能ルーターが「意味ない」と言われる背景を具体的に解説し、どんな場合に本当に必要か、逆に意味が薄いかを見極めるポイントをお伝えします。
1.回線速度が遅い場合は性能を活かせない
インターネット回線の速度が遅ければ、高性能ルーターの性能は十分に活かせません。
Wi-Fiルーターはあくまでデバイスに電波を届ける役割であり、回線自体の速度が低ければ限界があるからです。
例えば、光回線のように高速な回線を契約していない場合、どんなに高性能なルーターでも最大速度は回線の速度に制限されます。つまりルーターの性能が「オーバースペック」になることもあります。
2.使用環境が狭く機器が少ないと能力を持て余す
狭い部屋で機器も少なければ、高性能ルーターの機能は無駄になることが多いです。
高性能ルーターは広範囲をカバーし、多数の接続を安定させるための設計ですが、小規模環境では十分な性能の製品で十分だからです。
例えば、一人暮らしの1Kや1LDKの部屋でスマホ1〜2台を使う場合、基本的なルーターで問題なく使えることがほとんどです。高価な高性能ルーターはコストパフォーマンスが低くなります。
3.ルーター以外の要因で速度低下するケースも多い
Wi-Fiが遅い原因は必ずしもルーターだけではありません。
古いデバイスや障害物、電波干渉など、他の要素も通信品質に影響を与えるためです。
例えば、古いスマホやパソコンは最新の高速Wi-Fi規格に対応していなかったり、壁や家具の影響で電波が弱まることがあります。こうした場合はルーターを変えても効果が薄いことがあります。
Wi-Fi環境で発生する、「繋がらない」「遅い」などの不具合対処方法を以下記事に書いてますので、是非ご覧ください!


よくある質問とその答え
- Wi-Fiルーターの設置場所はどこがベストですか?
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Wi-Fiルーターは家の中心部に設置するのが理想的です。壁や家具の影響を受けにくい開けた場所を選ぶことで電波が部屋全体に届きやすくなり、通信速度の安定化に繋がります。
- 中継器やメッシュWi-Fiは必要ですか?
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広い住宅や障害物が多い環境では、中継器やメッシュWi-Fiを使うことで電波の死角を減らせます。単一のルーターではカバーしきれない範囲でも安定した通信を実現できます。
- 古い機器でも高性能ルーターの恩恵は受けられますか?
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古いデバイスは最新の高速規格に対応していない場合が多く、高性能Wi-Fiルーターの最大速度を引き出せないことがあり、さらに、規格が古い低速機器が、最新規格のWi-Fiルーターに接続すると、全体が低速になりますので、端末側も最新規格にする事がポイントです!
- 有線接続と無線接続、どちらが速いですか?
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一般的に有線接続は無線よりも速度が安定して速いです。特にオンラインゲームや動画配信など遅延が問題になる場合は、有線接続を検討するとより快適に利用できます。
- Wi-Fiのパスワードはどのように設定すれば安全ですか?
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安全なパスワードは英数字と記号を組み合わせ、他人に推測されにくい長めのものが理想です。また、定期的に変更し、不特定多数がアクセスできる場所での公開は避けましょう。
まとめ
- 高性能Wi-Fiルーターは使用環境や接続台数に応じて効果が変わるため、自宅の広さや接続機器数を考慮して選ぶことが重要です。
- アンテナ数が多いルーターは通信の安定性や速度向上に寄与し、複数の機器を同時に快適に接続するには対応台数の確認が欠かせません。
- 回線速度や利用環境によっては高性能ルーターの性能が十分に活かせない場合があるため、自分の回線状況を把握しておく必要があります。
- 古いデバイスや電波干渉など、ルーター以外の要因で通信速度が遅くなることもあるため、トラブルの原因を多角的に考えることが大切です。
- Wi-Fiルーター選びは性能だけでなく設置場所や初期設定、セキュリティ対策も含めた総合的な視点が後悔しない買い物につながります。
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