個人間の連絡手段としては、メールの必要性はかなり低くなってきてますが、企業ではまだまだ重要なインフラです。
社内間はもとより、特に社外とのやり取りに、メールは今でも必需品です。
メールの送受信記録は、エビデンスとして利用できますので、会話で合意した事や、約束した事を、わざわざメールにして送ったり、送ってもらったりする事も良くあります。
また、企業で使用されるメールといえば、最近では、「Microsoft365 Exchange Online」や「Google Workspace Gmail」など、クラウドメールを使うケースが多くなってきてはいますが、昔ながらの、プロバイダーの提供する「ホスティングメール」を使用されているケースも、まだまだ多く存在します。
また、WindowsクライアントPCで使用されているメールアプリケーション(メーラー)は、「Microsoft Outlook」が、現在最も多く使用されています。広く利用されている理由としては、様々な接続方式(プロトコル)に対応している為です。
Microsoft Outlookが対応している接続方式は以下です
【Outlookが対応する接続方式】
- Exchange Onlineの「MAPI over HTTPS」
- メールホスティングの「POP(s)、IMAP(s)、SMTP(s)」
- Gmail、YahooなどのWebメール
メーラーといえば、「Windows 8」の頃までは、「POP、IMAP、SMTP」に対応する「Windows Liveメール」が、Microsoftから無償提供され、多く利用されていましたが、Windows11では提供されなくなり、標準でインストールされている、「Outlook (New)」は、なぜか、「POP、IMAP、SMTP」に対応していません。
その為、有償にはなりますが、Microsoft Officeの全てのエディションに付いている、「Microsoft Outlook」の使用がデフェクトスタンダードとなっています。
2025年10月14日で「Windows10」のサポートが終了となります。
Microsoft Windows10
Windows 10のサポートは、2025年10月14日で終了します。
それに伴って、Windows10→Windows11へのPCリプレイスを行なわれる事になりますが、リプレイス作業で最も大変な作業が、メールデータの移行作業です。
今後、既存Windows10から、Windows11へリプレイスを行う作業が増える事が予想されますので、今回は、Outlookデータ移行方法に関して、書いていきたいと思います。
メール接続方式によるデータ保存場所の違い
メール接続方式の違いにより、データ保存場所が異なります。以下に記載します。
メール接続方式 | メールデータ保存場所 |
---|---|
POP | PCローカルフォルダ上に保存 一定期間過ぎるとメールサーバー上のデータは削除される |
IMAP | サーバー上に保存 PC上にもキャッシュデータが保存 |
MAPI | サーバー上に保存(メールデータだけでなく、連絡先、予定表データも含む) PC上にもキャッシュデータが保存 |
上記表を見てわかりますが、PCのリプレイスの際、データ移行が必要になり作業工数がかかるのは、PCのローカルフォルダにメールデータがある
「POP接続」の場合です。
その他の接続方式では、サーバーにメールデータがありますので、PCリプレイスによるデータ移行は不要です。
今回は、「POP接続」方式の場合の、Outlookメールデータ移行方法を記載してきたいと思います。
メール移行作業の流れ
それでは、早速メール移行作業の流れを記載したいと思います。
前提条件
旧PC(Windows10)から、新PC(Windows11)へのリプレイスの実施想定です。
それぞれのメール構成は以下です。
- 旧PC(移行元Windows10 PC):メーラーOutlook、メールアカウントPOP接続
- 新PC(移行先Windows11 PC):メーラーOutlook、メールアカウントPOP接続
メール移行作業の流れ
メール移行作業の流れを図にしてみました。
ポイントは、POP接続方式メールの為、PCのローカルディスクに保存された、メールデータの移行作業が必要になる点です。
次から、具体的な作業方法を書いていきたいと思います。
メール移行作業手順
旧メーラー(Outlook)設定確認
新PCでメールを使用する為には、旧PCのOutlook設定を確認して、同じ設定にする必要があります。
その為、まずは、旧PCのOutlook設定を確認して、メモをします。
・「ファイル」-「情報」-「アカウント設定」-「アカウント設定」をクリック
・対象のPOPアカウントを選択し、「変更」をクリック
・POPアカウント設定が開きますので、表示されている情報をメモし、「詳細設定」をクリック
・「全般タブ」「送信サーバータブ」「詳細設定タブ」それぞれ開きメモします
新メーラー(Outlook)設定
Outlook初期接続設定方法の詳細は割愛いたします。
この作業のポイントは、この後メールデータを移行しますので、「新規メールを受信しないようにする事」
理由としては、新規メール受信後に、メールデータ移行を行うと、新規メールが消えてしまう為です。
ですので、先程メモした「旧PCのOutlook設定」を、新PCのOutlookへ設定行いますが、メール設定完了後は、オフラインにする事で、新規メールを受信しないようにします。
旧メールデータ確認
旧PCのOutlookで以下メールデータを確認し、メモします。
確認中のメール受信を避けるため、作業前に以下項目を実施します。
【作業前に実施する事】
- 旧PCでメール送受信を実施し、「送信トレイ」にアイテムがない事を確認
- LANケーブルを抜線、または無線LANを停止し、メール送受信を停止
確認するメールデータは以下です。
- 受信トレイ件数
- 送信済みアイテム数
- その他個別フォルダアイテム数
- 連絡先件数
- Outlookデータファイル(PSTファイル)数とサイズ
データ移行後、アイテム数やサイズを比較し、正常にデータ移行が完了した事を確認します。
メールデータ移行作業
メールデータを移行する方法は2パターンあります。
- 「インポート/エクスポートウィザード」を使用した方法
- PSTファイルを入替える方法
PCメーカーがWebで紹介している、Outlookのメールデータ移行方式は、「インポート/エクスポートウィザード」を使用したものです。
ただし、「インポート/エクスポートウィザード」を使用した場合、データ移行漏れが発生する可能性があり、より安全にすべてのデータを移行するには、「PSTファイルを入替える方法」を推奨します。
環境準備
今回は、LANケーブルを使用して、メールデータ移行を行いますので、旧PCと新PCをLANケーブルで接続します
このタイミングでは、以下を確認します。
- メール送受信を止めている事
- Outlookを終了している事
データ移行手順
① 旧PCで移行用フォルダーを作成し、PSTファイルをコピーします。移行用フォルダーを共有します
② 新PCから、ネットワーク経由でアクセスし、PSTファイルを任意のフォルダーにコピーします
Outlookメールデータ紐づけ変更
① 「コントロールパネル」-「Mail(Microsoft Outlook)」を開き、「電子メールアカウント」をクリックします
② 作成したメールアカウントを選択し、「フォルダーの変更」をクリックします
③ 「新しいOutlookデータファイル」をクリックして、開いたフォルダーに旧PCよりコピーしたPSTファイルをコピーします
④ コピーしたPSTファイルを選択しOKをクリックします
⑤ 既定の設定を選択し、メールアカウントへのOutlookデータ紐づけが完了です
⑥ Outlookを起動し、メールデータが読みこまれた事を確認します
⑦ 「メールアカウント作成した時に出来たデータ」は閉じます
以上で、Outlookメールデータの紐づけは完了です
メールデータ移行確認
新PCでOutlookを起動し、移行前にも確認した、以下のデータをメモします
- 受信トレイ件数
- 送信済みアイテム数
- その他個別フォルダアイテム数
- 連絡先件数
- Outlookデータファイル(PSTファイル)数とサイズ
データ移行前のアイテム数やサイズを比較し、正常にデータ移行が完了した事を確認します
最後に、メール送受信テストを行ない、問題なくメール送受信が行えている事を確認します。
新規PC(Windows 11)リプレイス時のOutlookメール移行方法の説明は以上です。
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